2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノグラファイトの特異な磁性と電界効果トランジスタを用いた電荷・磁性制御
Project/Area Number |
06F06353
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
榎 敏明 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JOSEPH Joly 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 非平衡電子状態 / 気体吸収 / ナノグラファイト / 分子磁性 / 電子スピン共鳴 / 電子輸送 / ナノグラフェン / 磁性 |
Research Abstract |
ナノグラファイトの3次元無秩序ネットワークからなる活性炭素繊維の電子状態はナノグラファイトドメイン中のナノグラフェン端に局在して存在する非結合π電子状態(エッジ状態)によって支配されている。また、エッジ状態の局在スピンはナノグラファイトの特異な磁性を発現する。さらに活性炭素繊維のナノグラファイトドメイン間の電子輸送はホッピングにより支配されている。今年度の研究においては、エッジ状態スピンをマイクロ波照射、磁場印加による磁気共鳴状態に置き、スピン系からのエネルギーの散逸により形成されるドメイン間の非平衡電子状態での電子輸送現象を伝導度により観測した。この結果、マイクロ波照射下では共鳴条件、非共鳴条件にかかわらず電気伝導度の変化が観測され、共鳴による明確な影響は観測されなかった。このことは、実験条件に問題がり、電極で発生する渦電流による発熱が実験結果を支配しているものと思われる。電極構造を工夫することにより渦電流の影響を除去する工夫を現在おこなっている。活性炭素繊維試料をセットする基板にサファイヤ板を用い、金蒸着により電極を作製し、試料の電極付けには磁気不純物の少ない金ペーストを用いる改良を行っている。実験は改良条件を完成した後に予定している。また、もうひとつの実験として、ヘリウム雰囲気下におけるエッジ状態の局在スピンのエネルギー散逸過程の変化を明らかにする実験をスタートした。現在実験条件の詳細をつめており、実験結果はこれからの状態である。
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