2008 Fiscal Year Annual Research Report
中空球殻磁性体の2次元自己集積化と電気および磁気特性
Project/Area Number |
06F06354
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
阿波賀 邦夫 Nagoya University, 物質科学国際研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YE Quan-Lin 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | マグネタイト / ミー散乱 / 磁気異方性 / 磁気光学 / 薄膜 / 磁化曲線 |
Research Abstract |
一般的に、マグネタイト(Fe_3O_4)はソフト磁性体であることが知られている。本研究では、サブミクロンサイズのFe_3O_4中空球を作製し、これが通常のバルクおよびナノ粒子よりも大きなMH_<max>と保磁力H_cを示すことを明らかにした。これは、中空球構造に閉じ込められた渦状のスピン配列に由来すると考えられ、中空球構造にすることで磁気記憶装置などに必要とされるハードな磁気材料が作製できることを示唆する。また、通常Fe_3O_4は黒色であるが、緑色のFe_3O_4中空球を得た。拡散反射スペクトルから、510nmにピークが観測され、ミー散乱理論を用いたシミュレーションによってこの実測値を再現することができ、内部が空洞であり殻がFe_3O_4である中空構造と可視光の波長に匹敵する直径を有することから説明されうる。本研究で見出した緑色Fe_3O_4は、新しい磁気光学材料を開発する上での新しい道筋になる。最後に、Fe_3O_4中空球からなるマクロサイズの薄膜を作製した。この薄膜の磁化曲線は、磁場を薄膜面に平行にかけた場合と垂直にかけた場合で大きな違いはなかった。この結果は、個々の中空球の等方的な構造に由来して、薄膜が2次元の形状異方性を持たないことを示す。中空球の等方的な磁化は磁気異方性を制御する新しい方法となる。このようなマクロサイズでの中空球の2次元集積化はデバイスなどへの応用が可能であることを示す。以上、本研究により、中空球構造による新しい物性を見出すことができた。低密度、中空形状、生体適合性はバイオ(ドラッグデリバリーなど)や工学での応用をも可能にするであろう。
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Research Products
(3 results)