2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ粒子超格子の電気的・電子的、輸送現象特性の研究
Project/Area Number |
06F06358
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木村 啓作 University of Hyogo, 大学院・物質理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
APPUKUTTAN NAIR Sreekumaran Nair 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノ粒子 / 量子サイズ効果 / 自己集積超格子 / 金クラスター / 集積膜 / 電気伝導度 / 輸送現象 |
Research Abstract |
当初一年間、Sreekumaran博士は合成した粒子サイズを測定するため透過型、および走査型の電子顕微鏡の操作方法を修得してもらうのに費やした。また低温プローブ型電気伝導度測定装置の操作にも習熟してもらった。それと共に、メルカプトコハク酸(MSA)修飾金ナノ粒子の合成を行った。作製したデポジット膜での参照実験の結果、当初予想に反してジュールヒーティングの影響が非常に大きく、他論文の実験条件などを想定していた実験設備では実験継続が不可能な事が分かった。特に極低温領域までの輸送現象の実験を同じ理学部の低温物理の専門家の協力を得て行い、必要な実験機器のスペックを決め、新たに高性能電源を購入する事にした。このため全ての実験を最初からやり直す事になり、予定が大幅に遅延する事になった。新電源が納入されるまでの間、新たに水溶性の配位子、チオプロニン、グルタチオン還元型を用いてナノ粒子の作製を行った。これらの集積膜を作製して、電気伝導度の測定を改めて行い、MSAにおいては低温部で金属的な温度依存性を示したが、高温部で活性化型の電導度を行う、相転移を示す結果を得た。これを材料関連の専門誌に投稿中である。またチオプロニンを用いた金ナノ粒子においてはマクロなトンネル現象を示唆する結果を得、これも論文に纏めて現在投稿中である。 以上のようにナノ物質においてはこれまでのマクロな物質とは異なる性質のため、輸送現象測定装置も通常のもの以上の性能のものが必要になり、研究が大幅に遅れる結果となった。平成20年度は設備面ではナノ物質に対応できる状況となったため、金ナノ粒子と生体分子やイオンペアーを形成する簡単な有機分子とのナノコンポジット系に対象を広げた研究を行う予定である。 以上より研究成果として現在特記するものは無い。
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