Research Abstract |
月惑星探査ロボットの遠隔操縦の研究を行うため,脚車輪型ハイブリッド移動ロボットのテストベッドLEON,および実時間ダイナミクスエンジンを持つモジュール統合型遠隔操作プラットフォームを開発し,その評価実験を行った. 移動探査ロボットテストベッドLEONは六角形のボディーを持ち,対照的に6本の脚が取り付けられている.凹凸の激しい岩質の不整地では,これら6本の脚を用いて歩行移動する.特に重力が小さい環境では,脚によって岩石の表面にしがみつくことによって,ロボットの安定性を保つために有効である. 一方,砂状の平坦地においては,特別な形態を持つ2本の客を折りたたむことにより車輪へと変形し高速で車輪走行することが可能となる.脚の先端には様々なツールを装備することが可能であり,センサーの位置決め,岩石表面の掘削,研磨およびサンプルの採集やハンドリングなどの作業を行うことができる.車輪型に変形した後も4本の脚が残されているため,上記の作業は可能である. LEONはバッテリー駆動であり,オンボード計算機としてSONY PSPを搭載している.PSPのワイヤレス機能を使って遠隔操縦を行うことが可能であり,後述する遠隔操作シミュレータと同期をとりながら,様々な歩行経路,歩行パターンについて不整地走行実験を行い,車輪モードおよび脚モードのそれぞれにおいて,不整地移動特性が十分に高いことを検証した. また,LEONの行動計画を立てるため,ダイナミクスシミュレーションに基づいて,複数の指標評価が可能な行動計画エンジンを開発した.3次元の地形モデルが与えられた場合,この行動計画エンジンがLEONの最適探査経路を探索する.さまざまなケーススタディの結果,車輪のみあるいは脚のみによる探査よりも,車輪と脚を適切に使い分けて探査することが,時間,距離,エネルギー消費の各観点で,有利であることが確認された.
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