2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
斗内 政吉 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RANA DHANVIR SINGH 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | Multiferroic / BiFeO_3 / Terahertz radiation / Structure / Magnetization |
Research Abstract |
本年度、私はマルチフェロイック材料として近年非常精力的に研究が行われている、BiFeO_3薄膜を作製し、その結晶構造、磁気特性およびフェムト秒パルス照射によるテラヘルツ波放射の膜厚依存性を測定した。その結果、基板との格子歪に起因したバルクとは異なる性質を示す相の存在を確認した。 (LaAlO_3)_<0.3>(Sr_2AlTaO_6)_<0.7>(001)[LSAT]基板上にパルスレーザー蒸着法を用いてBiFeO_3薄膜を作製し、その膜厚依存性を検証した。高分解能X線回折の逆格子マッピングの測定から、膜厚75nm以下では基板からの格子歪を伴った斜方晶の相、110nm以上では部分的に歪が緩和された菱面体相、そしてその中間の膜厚では両者の共存した領域が見られることが分かった。磁化率測定の結果、110nm以上の菱面体相では膜圧に依存せずバルクの結晶とほぼ同じ値であったが、斜方晶相では歪の影響と思われる磁化率のわずかな増加が見られた さらに私は、それぞれの膜厚のBiFeO_3薄膜にフェムト秒レーザーを照射し、そこから放射されるテラヘルツ波を観測した。この手法により薄膜の分極構造など強誘電特性を計測することが出来る。まず、各領域の薄膜のテラヘルツ波の放射効率を調べた結果、どの領域の薄膜からの放射される電磁波の強度にほとんど変化がなく、格子歪は放射効率にほとんど影響を与えないことが分かった。また、放射電磁波の強度(E_<TH>)のバイアス電界依存性から得られるP-Eヒシテリシス曲線から、膜厚膜厚75nm以下の斜方晶相および110nm以上の菱面体相ではその形状にほとんど違いは見られなかったが、両者の共存する領域ではリーク電流が増加していることを確認した。これは、この領域では格子欠陥等が多数存在することに起因すると思われる。これらの結果を総合すると、格子歪自体は強誘電体特性にほとんど影響を与えないことが分かった。
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Research Products
(1 results)