2007 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅を用いた次世代メモリのための多層金属酸化物構造の研究
Project/Area Number |
06F06386
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上殿 明良 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUAN Guoliang 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 陽電子消滅 / 低速陽電子ビーム / 金属酸化物 / 欠陥 |
Research Abstract |
本研究の目的は,陽電子消滅を用いて次世代メモリ材料として注目されている金属酸化物の点欠陥(酸素欠陥等)とその特性劣化の相関性を明らかにすることにある.本年度は,カリフォルニア大学(バークレー校)と協力し,陽電子消滅を用いてSrTiO_3基板上に形成したBiFeO_3構造を評価した. 現在,環境に負担をかけない強磁性体としてBiFeO_3(BFO)が注目されている.BFOはPZTに比較して遜色無い磁気特性を持つだけでなく,高いキューリー点(820-850℃)を示すため,次世代のメモリ材料として精力的に研究されている.一方,点欠陥に起因した電気的特性の劣化が深刻な問題となっているが,金属酸化物薄膜中の点欠陥を適切に検出する手法が限られているのが現状である.本研究では,低速陽電子ビームラインを用いてBFOの欠陥を検出した.BFOをSRO/STO上にパルスレーザー・デポジッション(PLD)法で形成した.BFO形成後,異なる雰囲気で室温まで冷却した.筑波大学で建設した低速陽電子ビームラインを用いて,陽電子の打ち込みエネルギーの関数として,陽電子消滅ガンマ線ドップラー拡がり測定をおこなった.得られた結果を,ドップラー拡がりの先鋭度を評価するパラメーターであるSパラメーターで評価した.この結果,酸素分圧が低い状態で冷却した試料のS値が上昇していることがわかった.S値の変化は陽電子が金属空孔に捕獲されたことを示す(酸素欠陥には感度が無い)ので,低酸素分圧では,金属型の点欠陥も導入されていると結論することができる.以上の結果から,酸素欠陥導入と同時に金属欠陥が導入され電気的特性劣化の一因となることが分かった.
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