2008 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子消滅を用いた次世代メモリのための多層金属酸化物構造の研究
Project/Area Number |
06F06386
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上殿 明良 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YUAN Guoliang 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 陽電子消滅 / 低速陽電子ビーム / 金属酸化物 |
Research Abstract |
陽電子消滅は物質中の空孔型欠陥を非破壊かつ高感度で検出することのできる種法である.本手法を結晶に適用した場合,空孔型欠陥(単一原子空孔等)の同定やその濃度の決定が可能である,一方,非晶質材料では,原子配列の3次元的乱れに対応した空隙の情報(サイズ分布など)が得られる.本年度では,Si基板上に蒸着したHfSiON膜の評価を行い,空隙とその電気的特性の相関性を調べた.低速陽電子ビームを用いて厚さ20nmのHfSiOxの陽電子消滅γ線ドップラー拡がり測定を行った.蒸着直後では,ドップラー拡がりの先鋭度は高く,サイズの大きな空隙で陽電子が消滅していることがわかった.HfSiON膜を窒素雰囲気中及び酸素雰囲気中で焼鈍することにより,先鋭度は下がり,空芸サイズは減少した.特に,酸素雰囲気で焼鈍した場合に最も空隙サイズが低下した.一方,同様にして作製した試料のリーク電流特性を測定したところ,焼鈍前に観測されていたリーク電流は焼鈍により低下するが,酸素雰囲気による焼鈍の方が効果が大きいことがわかった.リーク電流の低下は,(N_0^<3->)-V_0^<2+>-(N_0^<3->)-ダイポールの形成により,膜中の電子が酸素位置を置換する窒素原子に捕獲されたことによるものであり,酸素雰囲気による焼鈍では,酸素空孔そのものの低下が利リーク電流低下の原因であることがわかった.
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