Research Abstract |
近年,メタマテリアル(metamaterials,人工媒質)をマイクロ波・ミリ波デバイスへ応用することにより,従来の材料では得られないような電気特性が実現できるため,国内外において多くの研究開発が進められるようになってきた.特に,メタマテリアルをマイクロ波アンテナに応用する研究が注目されている.本研究では,メタマテリアルを用いた高利得の平面アンテナの広帯域化を図り,高利得でかつ広帯域な低姿勢平面アンテナを実現することを最終目的として,本年度では,Electromagnetic band-gap(EBG)の広帯域と等価解析モデルの確立を目的としている. 本年度では,前年度で確立したメタマテリアルの等価回路に基づき,等価回路の集中定数をパラメータとし,メタマテリアルの周波数帯域を目標関数として,周波数帯域における広帯域の最適化を行った.また,広帯域化に最適化された集中定数回路をマイクロ波,ミリ波のような高周波領域で実現するために,分布定数回路を設計し,プリント基板における広帯域なメタマテリアルの研究を行った.その結果,L-shaped bridges with slits (LBS)という新たな構造有するEBG基板を提案した.提案構造に対して,数値シミュレーションと実験を行い,その電気特性を調べた.提案構造は,直流電流の伝送が可能でありながら,高周波信号に対して,極めて広帯域にわたって,ストップバンドの特性を示していることが分かった.このような特性を有する構造を,多層基板構造中の直流電源層の基板として使用することにより,多層基板中の電磁波干渉を低減することがで期待できる.今後,提案構造のプリント基板の実用化に向かってさらに検討していく.この研究結果を2008年7月に開催されるIEEEアンテナ・伝播ソサエティの国際シンポジウムに発表する予定である.
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