2006 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度のヒ素を含む地下水中の多成分輸送と除去システム設計のためのモデルの開発
Project/Area Number |
06F06396
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神野 健二 九州大学, 大学院工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HALIM Md.Abdul 九州大学, 大学院工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ヒ素 / 地下水汚染 / 酸化・還元 / 鉄 / マンガン / 溶出・吸着 / ヒ素形態予測モデル |
Research Abstract |
現在,ヒ素による地下水汚染が世界各地で報告されている.土壌中及び地下水中では,ヒ素の多くが3価及び5価の無機態として存在しており,これらの無機態のヒ素は,土壌中に存在する鉄の水酸化物によく吸着されるということが知られている.鉄の多くが水酸化第二鉄として存在するような酸化環境下では,土壌中に存在するヒ素の多くは鉄を含む堆積物に吸着・固定される.この堆積物が還元環境下におかれると,水酸化鉄中の鉄が溶出し,それに吸着していたヒ素が脱着・溶出すると考えられるが,本メカニズムについては,現在までのところ十分な知見が得られていない. 本研究では,平成18年10月から平成19年3月の6ヶ月間に,次のような実験を行った. 土壌を還元環境とするカラム実験と,還元環境の土壌から流出した水を酸化するカラム実験を連続して行い,酸化・還元環境の変化にともなう各化学種(As,Fe,Mn,Zn,Mg,K)の動態,なかでも鉄とヒ素の関係について考察した.その結果,土壌が還元環境下におかれると,土壌中のAsが溶出することが分かった.溶出時のAsとFeの挙動から,Asの溶出はFeの溶出に伴うものであることが確認できた.また,還元環境下で溶存態となったAsは酸化環境下におかれると,Feと共沈もしくはFeの沈殿物に吸着する形で,土壌表面(本実験ではガラスビース)に付着することが分かった.今後はこの実験結果を参考にし,砂層による酸化により、鉄の沈殿に伴うヒ素の共沈実験を行い、共沈現象の数値計算を目的としたモデルの開発および酸化還元環境の変化に伴うAsの溶出・吸着過程を再現するモデル(ヒ素形態予測モデル)の構築を図る予定である.
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Research Products
(2 results)