Research Abstract |
1T型強誘電体メモリのMFM構造あるいはMFIS構造実現のための強誘電体材料は、これまで実用化している1T1C型強誘電体メモリに用いられる強誘電体とは異なる特性が求められる。すなわち、 ・低残留分極値Pr:1型のFETのゲートの開閉には、1T1C型に比べて、十分小さなPrの値が必要である。 ・低誘電率ε:ゲート部に生成する低誘電率のSiO_2や絶縁膜に電界が集中することを防ぐために、強誘電体の誘電率は低い必要がある。 ・減分極効果の低減:1T型の強誘電体メモリーの欠点である減分極効果を低減するためには,ゲート絶縁材料に誘電率の高いものを使う必要がある. ・低温結晶化:上記の要請を満足する強誘電体材料の一つであるSBT(SrBi_2Ta_2O_9)は,結晶化温度が高いことが欠点であり,この低減が必要である. 上記の要請を考慮して,本研究ではベースとなる強誘電体材料としてSBTを採用し,低残留分極値,低誘電率,および結晶化温度低減,およびゲート絶縁膜として,HfO_2を使うことを意識して,BZO(BiZrO_3)を添加した. また,低温結晶化の予備的な検討として,Pb(Zr,Ti)O_3強誘電体の低温結晶化におよぼすSrTiO_3シード層の影響を検討し,シード層の作成プロセスの検討によって,結晶化温度の大幅な低減が可能なことを見いだした.この結果は,SBTについても適用可能であると考えている.各種濃度でBZOゾルゲル溶液を添加したSBTゾルゲル溶液をPt/TiO_2/Si基板上にスピンコーティングし,ホットプレート状で乾燥した.何層か積層し,100〜200nm程度,成膜し,急速加熱電気炉を用いて,750℃,O_2中で結晶化した.得られたBZO-SBT薄膜に上部電極をDCスパッターで形成し,強誘電特性(P-E),リーク特性(I-V)および静電容量の電圧依存性(C-V)を測定した. その結果,BZOを5ないし10mol%添加したSBTが,良好なP-E特性を示した.P_rとεの値は,それぞれ,2μC/cm^2,130であり,47kV/cmの印加電界の時のEcは〜225kV/cmであり,SBTのそれよりも大きく,今後,Ecの低減が必要である.I-V特性において,非対称の特性が得られたが,BZO-SBTと上部及び下部Pt電極の界面の影響と考えられる.今後,界面特性の検討を行う. 今後は,上述の問題点の解決とともに,ゲート絶縁膜として予定しているHfO_2薄膜を形成したSi基板上にBZO-SBTを形成し,界面反応や核酸について検討する.
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