2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規抗リンパ腫治療薬を目指した多機能性融合抗体の開発研究
Project/Area Number |
06F06410
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 泉 東北大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ABDELKADER ADEL Badran 東北大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | TRAIL / scFv / 融合抗体 / MHC / CD19 / EGFR / 巻き戻し |
Research Abstract |
がん細胞はT細胞が標的とするMHCの発現を低下させるなど、その攻撃から免れている。このため、T細胞をがん細胞に標的化したり、がん細胞特異的な殺傷能を有する新規治療薬の開発は望まれている。そこで、本研究は、MHCとリンパ腫上に高発現しているCD19等に対する一本鎖抗体(scFv)との融合分子、あるいは、がん細胞にのみ強力なアポトーシスを誘導するTRAILを遺伝子工学的に融合した抗体の構築を目指す。さらには、これらを組み合わせた融合タンパク質の構築も試みるなど、Bリンパ腫を中心とする悪性腫瘍に対する多機能性融合抗体の開発を目的としている。本年度の研究成果は以下の通りである。 まず、TRAIL単独分子の組換え体の調製、及び当該研究室既存の抗EGFR抗体528scFvとTRAILとの融合抗体の構築を目指した。TRAILは大腸菌不溶性画分に非常に多くの発現が見られたため、段階透析法を用いた巻き戻しによる調製をおこなった。TRAILレセプター陽性がん腫を用いた傷害性試験により、組換え体の活性は確認されたが、動物細胞より調製されたコントロール分子に比べて活性の低下が見られた。TRAILはZn担持タンパク質であるため、今後は巻き戻し過程にZnを添加するなどその最適化を目指す。一方TRAILのC末端に528scFvを融合した分子は活性が見られなかった。そこで、N末端に融合した分子を再構築し、巻き戻しにより調製を行ったところ、フローサイトメトリーによる結合活性を確認することが出来た。今後、がん細胞殺傷能を評価する予定である。さらに、Bリンパ腫への適応を目指して、抗CD19抗体の利用を考えているが、その配列情報を複数入手することが出来た。今後、Over-lap extension PCR法により全合成を行う予定である。
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