2006 Fiscal Year Annual Research Report
メカノケミカル法を利用したフライアッシュからのゼオライト合成
Project/Area Number |
06F06414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 文良 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WALEK T.T 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | メカノケミカル法 / 水熱法 / フライアッシュ / ゼオライト |
Research Abstract |
研究の概要は、Walek博士の持つ水熱法と受け入れ教員(齋藤文良、東北大多元研教授・所長)の持つメカノケミカル法を組み合わせ、火力発電所から大量に排出される廃棄物(フライアッシュ)から有価物であるゼオライトを合成する新しいプロセス開発を強力に進めることである。 研究の意義としては、Walek博士は、水熱法(ハイドロサーマル法)によりフライアッシュからゼオライトを合成するリサイクル環境工学的手法を持っている。ただ、この技術・手法も難点があり、それは、水熱法そのものが高温高圧条件を必要とすることであり、これではエネルギーコストが大になり、かつ、大量処理と装置の大型化が困難な点である。これに対して、受け入れ研究者(齋藤文良教授、東北大多元研)の研究室ではメカノケミカル法を活用した材料開発、廃棄物処理プロセス開発などの研究を推進している。メカノケミカル法では、粉砕を基本として粉体の機械的活性化を誘起することであり、これによって常温での固相反応も達成できる他、予備処理として活用する場合、処理後の化学的処理〜すなわち、常温合成の他、加熱処理や溶解処理での処理条件を温和にすることが出来る。常温合成の例では、TiO_2とCaOからCaTiO_3などの複合酸化物が得られるし、加熱処理条件の低減では、セラミックス合成における焼結温度の大幅低下がある。さらに、溶解処理の例では、従来加熱下でしか溶解できなかったものが、室温下で、しかも水あるいは低濃度酸/アルカリ溶液でも溶解できるようになるなど、多くの事例がある。 したがって、フライアッシュを前処理(粉砕処理=メカノケミカル処理)し、その後水熱条件下でのゼオライト合成を行うと、高温高圧処理における温度と圧力を大幅に低減できる可能性が期待できる。これは、環境にやさしい処理プロセスの開発に繋がり、次世代環境技術のイノベーションである。 この共同研究によって、多くの有益な情報、結果がもたらされ、わが国、ポーランドとの2国間のみならず世界的に困窮しているフライアッシュ排出に係わる汚染問題、環境負荷問題などが解消できる良い契機になるものと大いに期待している。
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