2006 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体での脂質ペルオキシド由来のアルデヒド種の生成機構と光合成阻害への関与
Project/Area Number |
06F06418
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
真野 純一 山口大学, 総合科学実験センター, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHOROBRYKH S.A. 山口大学, 総合科学実験センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 過酸化脂質 / アルデヒド / 葉緑体 / チラコイド膜 / 葉緑体包膜 / HPLC / 分析法 |
Research Abstract |
植物の光酸素傷害に関与する,過酸化脂質由来のアルデヒド種の葉緑体内での生成機構と光合成阻害機構を解明することを目的として,以下の成果を得た。 1.微量植物試料中のアルデヒド分析法の確立 植物葉から単離した葉緑体や葉緑体から調整したチラコイド膜など,微量試料中に含まれるアルデヒドの分析法を確立した。抽出溶媒にアセトニトリルを用い,抽出したアルデヒドをギ酸酸性下で2,4-ジニトロフェニルヒドラジンにより誘導体化し,C30逆相HPLCで分離することにより,葉に存在する約30種のアルデヒドおよびケトンを分別定量できた。 2.葉緑体内の各画分のアルデヒド組成分析 ホウレンソウ葉緑体には3-cis-ヘキセナールなど既知のアルデヒド種の他に,アクロレイン,プロピオンアルデヒド,クロトンアルデヒド,ブチルアルデヒドなど炭素鎖の短いアルデヒドや,反応性の高い4-ヒドロキシ-2-ヘキセナール(HHE)が含まれていた。葉緑体包膜とチラコイド膜のアルデヒド組成の比較からプロピオンアルデヒドはチラコイド膜にのみ存在することが明らかとなった。 3.葉の光酸素傷害に関与するアルデヒドの同定 アルデヒド消去酵素2-アルケナールレダクターゼ(AER)を過剰発現し強光耐性をもつ組換えタバコと対照の非組換えタバコを用い,強光照射後によるアルデヒド組成の変化を比較した。組換え株では細胞毒性の高いアクロレイン,HHEの増大が対照株より小さく,組換え体ではこれらのアルデヒドがAERにより消去され強光耐性が得られたと考えられた。すなわち葉の強光傷害にアクロレインやHHEが関与することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)