2007 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体での脂質ペルオキシド由来のアルデヒド種の生成機構と光合成阻害への関与
Project/Area Number |
06F06418
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
真野 純一 Yamaguchi University, 総合科学験センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHOROBRYKH Sergey A. 山口大学, 総合科学実験センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 強光ストレス / 酸化的ストレス / 過酸化脂質 / チラコイド膜 / 4-hydroxy-2-hexenal / α,β-不飽和アルデヒド / 活性酸素 / 一重項酸素 |
Research Abstract |
葉緑体の光酸素ストレスでは,過酸化脂質およびその分解産物であるアルデヒドが生成する。葉緑体でのアルデヒド生成機構,光合成への影響を解明することを目的として,以下の結果を得た。(1)葉緑体チラコイドに局在するアルデヒド種の同定。ホウレンソウ葉緑体を分画し,包膜,ストロマ,チラコイド膜のアルデヒド組成をLCMS分析した。チラコイド膜は,(1)リポキシゲナーゼ系により生成するC6アルデヒドである3Z-hexenal(3ZHE),2E-hexenal,n-hexanal,(2)α,β-不飽和アルデヒドであるcrotonaldehyde,4-hydroxy-2E-hexenal(HHE),(3)短鎖飽和アルデヒドのpropionaldehyde, acetaldehyde, formaldehyde,および(4)その他の酸素化アルデヒドを,10-600μMレベルで含んでいた。包膜とストロマはC6アルデヒドのみを含んでいた。これは,活性酸素によってチラコイド膜で恒常的に脂質由来のアルデヒドが生成していることを示す。(2)一重項酸素による脂質過酸化で生じるアルデヒドの同定。メチレンブルー光増感作用により発生させた一重項酸素を溶液中でリノレン酸と反応させると,上記(3)の短鎖飽和アルデヒドに加え,butyraldehyde, crotonaldehyde, 3ZHE, HHEが生成した。チラコイド膜においても一重項酸素によってこれらのアルデヒドが生成すると推定できる。(3)3ZHEのチラコイド膜での代謝。単離チラコイド膜には3ZHEをHHEおよび2種類の未同定アルデヒドに変換するperoxygenaseなどの活性が存在することを見いだした。(4)アルデヒドによる光合成阻害。プロピオンアルデヒドは光合成電子伝達活性を阻害することを見いだした。
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Research Products
(3 results)