2006 Fiscal Year Annual Research Report
メダカにおける卵巣分化の分子メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
06F06420
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
長濱 嘉孝 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CUI Jianzhou 基礎生物学研究所, 生殖生物学研究部門, 外国人特別研究員
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Keywords | 魚類(メダカ) / 性分化 / 生殖腺 / 脳 / エストロゲン / 芳香化酵素遺伝子発現 / エストロゲン受容体 / DMY |
Research Abstract |
脊椎動物における性分化機構の研究は、主に精巣分化の研究が活発になされているが、卵巣分化に関しては一部の動物種でのみなされている。我々は、先にエストロゲンが魚類の卵巣分化に重要な役割を果たすことを明らかにした。本研究では、特にエストロゲン合成に関わる芳香化酵素遺伝子の性分化に果たす機能を明らかにすることを目的とする。 他の脊椎動物とは異なり、魚類には2種類の芳香化酵素(P450arom)遺伝子(卵巣型P450arom、脳型P450arom)が存在する。本年は、エストロゲンが脳型P450aromの転写制御についてどのような役割を果たすのかを、プロモーターアッセイにより解析した。また、メダカの性決定遺伝子DMYの果たす役割についても検討した。 1)U251細胞を用いたエストロゲンによる脳型P450aromの転写制御の解析: エストロゲン受容体(α、β、R2)を発現させたU251細胞では、エストラジオール-17β(E2)の添加濃度に依存して脳型P450aromの遺伝子発現が上昇した。従って、エストロゲンは脳型P450aromの遺伝子発現を促進する作用があると推察される。 2)HEK293細胞を用いたDMYによる脳型P450aromの転写制御の解析(予備的実験): エストロゲン受容体(α、β、R2)を発現させたHEK293細胞では、U251細胞の場合と同様に、エストラジオール-17β(E2)の添加濃度に依存して脳型P450aromの遺伝子発現が上昇した。しかし、これらのコンストラクトとともにメダカの性決定遺伝子であるDMYを発現させるとDMYの濃度に依存して、脳型P450aromの遺伝子発現が減少した。これらの結果は、HEK293細胞では、DMYが脳型P450aromの遺伝子発現を抑制することを示しており、DMYが脳の性分化に関して何らかの役割を果たす可能性を示唆しておりきわめて興味深い成果が得られた。
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