2007 Fiscal Year Annual Research Report
粘菌の細胞集団の確率的遺伝子発現と閾値ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
06F06422
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金子 邦彦 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GREGOR Thomas 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 振動 / 粘菌 / 自己組織化 / 非線形力学系 |
Research Abstract |
細胞が環境を感知する際には、膜上の受容体とリガンドの、分子ゆらぎに由来する物理的拘束が避けられない。その際、物理的な検出限界において生物系が動作している可能性が、1977年にBergとPurcellによって理論的に予想されている。細胞性粘菌Dictyostelium discoideumの初期発生ダイナミクスを例にとり、細胞の飢餓後の分化と細胞間cAMPシグナリングの関係性を、顕微鏡下、細胞レベルで可視化し定量化することを目的とした。また、これが細胞集団密度によってどのように変化するかを解析し、細胞が集まったことで出現する環境応答への鋭敏性を特徴づけることで、多細胞化が時空間的な動力学の不安定性によって出現せざるを得ないからくりを浮かび上がらせる。 平成19年度は主に、細胞内cAMPの変動について細胞外の刺激との関係を解析した。その結果、いくつかの異なるタイムスケールからなる適応現象と、細胞の運動と関係した振動不安定性、さらにそれらが生じる分岐付近に系が分化によって導かれている様子が明らかになった。
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Research Products
(1 results)