2007 Fiscal Year Annual Research Report
コナガバキュロウイルスの特性解析と利用に関する研究
Project/Area Number |
06F06428
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 迪弘 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAOILI BarbaraLavifia 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | コナガ / 核多角体病ウイルス / 昆虫培養細胞 / ウイルス殺虫剤 |
Research Abstract |
本研究は、野外で分離したコナガ(Pultella xylostella)核多角体病ウイルス(NPV:nucleopolyhedrouirus)から、コナガに対して高殺虫活性をもつNPVクローンを選抜し、コナガを標的とする効果の高いNPV殺虫剤を開発するための基盤を整備することを目的としている。 これまでに、フィリピンで採集したコナガ罹病幼虫からコナガNPV(PlxyNPV)と推定された37株のNPVを分離した。今回、これらのPlxyNPVを培養細胞で増殖させるための接種液を調製するために、ウイルスを脱皮直後の3齢コナガ幼虫に接種したところ、およそ30%が致死したに過ぎなかった。フィリピンのコナガを用いた同条件の感染実験では、100%の致死が得られることから、PlxyNPVに対する感受性は、日本のコナガとフィリピンのコナガで大きく異なっていることが示唆された。 つぎに、感染が認められた21の分離株のコナガ感染幼虫の血液と幼虫磨砕液の上清を接種液として、昆虫細胞系に接種し、PlxyNPV許容細胞系の探索を行った。最初に、PlxyNPVの増殖を許容すると報告されているHeliothis virescens由来のHv-AM1細胞と、Trichoplusia ni由来のTn-CL1細胞を用いて感染実験を行ったところ、両細胞とも、21のPlxyNPV分離株のうち14の分離株の増殖を許容することが示唆されたが、ウイルスの継代を繰り返すうちに、やがてCPEも包埋体様封入体の形成も認められなくなった。このことから、Hv-AM1細胞もTn-CL1細胞も、今後、PlxyNPVの生物学的特性解析や、PlxyNPVに関する分子生物学的研究、遺伝子工学的研究などを進めるうえで十分に満足のいく細胞系ではないと判断した。現在、コナガ由来のPlxy217細胞を用いて同様の研究を継続している。
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Research Products
(3 results)