2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06436
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 睦 The University of Tokyo, 海洋研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN Nurul Huda 東京大学, 海洋研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 緑膿菌 / 海洋 / 分離 / 系統解析 / MLST |
Research Abstract |
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は日和見感染菌としてしばしば問題を起こすことで広く知られる。これまでその環境中の分布は陸、淡水と考えられてきたが、2007年の分担者の論文により(Khan et al.2007)、この細菌が海洋から分離され、その海洋環境での存在が世界で初めて明らかになった。では、これらの海洋株は陸、淡水、臨床株と比較してどのような性質の違いを持つのか、あるいはこれらの海洋株の起源はどこにあるのか。こうした疑問に答えることが本研究の目的である。そこで様々な環境からの分離株および臨床分離株、計36株を解析に用いた。Multilocus Sequence Typing(MLST)により、7つのHouse keeping genes(acsA,aroE,guaA,mutL,nuoD,ppsA,trpE)の塩基配列を求め、個々の遺伝子および全体をconcatenateして系統樹を描いた。この結果、海洋株はこれまでみられたことのない新しいタイプであること、淡水株、沿岸株、外洋分離株はおおむねその分布域に応じた系統関係を示すことを明らかにした。この結果は、緑膿菌が海洋環境に生息、適応した一群であることを強く示唆する。また、近縁のP.putidaも海洋から分離されており、合計74株を対象MLST解析を行った。この種も緑膿菌とは多少パターンが異なるが、同様に海洋株独自のクラスターの存在が確認された。本研究は海洋に生息するPseudomonas属細菌の初めての系統的研究と位置づけられる。
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Research Products
(2 results)