2007 Fiscal Year Annual Research Report
有明海におけるスズキの初期生態と加入量変動機構に関する研究
Project/Area Number |
06F06437
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山下 洋 Kyoto University, フィールド科学教育研究センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISLAM Md.Shanidul 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 海洋生態 / 海洋資源 / 水産学 / スズキ / 成長速度 / 有明海 / 丹後海 / 耳石 |
Research Abstract |
平成19年12月〜20年3月に、有明海において大型プランクトンネットを用いたスズキ仔稚魚調査を行った。スズキは12月から1月にかけて島原半島沖の有明海湾口部で産卵し、仔魚は12月から1月に湾の中央部で採集された。3月には湾奥部の筑後川河口域で変態を完了した稚魚が採集された。また、由良川河口〜丹後海海域においても12月〜2月に産卵が認められ、1,2月に浮遊期仔魚、2〜4月に着底稚魚が採集された。仔稚魚密度は丹後海の方が有明海よりも5〜10倍高かった。平成19年の春季に採集した仔稚魚と卵から飼育した仔魚の耳石の微細構造を詳細に調べ、耳石による日齢解析手法を検討した。耳石のうち扁平石には明瞭なふ化チェックと摂餌開始チェックの形成を確認し、さらに耳石輪紋形成の日周性を証明した。ふ化と摂餌開始チェックの半径に対応するチェックが天然採集仔稚魚にも認められ、これらのチェックおよび日輪の輪紋間隔を基準とした耳石による日齢査定と成長速度推定法を確立した。この日齢解析手法を用いて平成19年春季に採集された仔魚の耳石日輪を調べ、ふ化後の成長履歴を個体ごとに推定した。浮遊仔魚期に採集された個体と着底稚魚期に採集された個体間で、ふ化後25日齢までの平均日間成長速度を比較すると、1月生まれ群では0.227mmと0.253mm、2月生まれ群では0.175mmと0.227mmであった。発育段階初期(ふ化後25日齢まで)の成長速度は稚魚期まで生き残った個体の方が有意に高いことから、25日齢までの仔魚期に成長速度の低い個体ほど死亡率の高い、成長速度依存的な初期減耗が明瞭に確認された。
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Research Products
(1 results)