2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06444
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAADAN Odbileg 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | トリパノソーマ原虫 / 薬剤耐性株 / 分子疫学調査 / Samorin |
Research Abstract |
トリパノソーマ原虫(Trypanosoma evansi)は、アジアを中心に全世界の家畜・野生動物に感染し多大な被害を与えている。トリパノソーマ原虫を迅速にかつ高感度に検出することは、動物のトリパノソーマ病の診断において重要である。PCR法は簡便で高感度な病原体の検出法であり、多くの病原体の診断に応用されている。トリパノソーマ病でもT.vivaxの検出法について、試料からのゲノム抽出法を含めて検討されている。しかし、この方法では、原虫数が比較的多い原虫血症では検出が可能であるが、原虫数が低いレベルのものでは検出が困難となる。最近になってゲノム抽出用の材料の採取・保存にFTAカードが有用であることが示され、実際にFTAカードで採取した血液材料からマラリア原虫などを検出できることが報告されている。そこで本研究ではFTAカードによる血液材料の採取とカードから抽出したゲノム材料からのT.evansiのPCR法による検出を試みた。 モンゴル・中国・パラグアイにおいて、2006年〜2007年にかけて合計517頭の家畜(馬、牛、水牛、羊など)から血液をFTAカードに採取した。次に各検体の血液スポットから直径2mmのディスクを10枚ずつ切り取り、そのディスクから常法によりゲノムDNAを抽出した。そのDNA試料より、原虫のRotat1.2VSG配列特異的プライマーとAmp Direct/Nova Taq PCRキット(島津製作所)を用いて原虫DNAの検出を行った。その結果、この採材法とPCR法が疫学調査などで原虫の検出に有用であることが示された。実際に本法を用いた調査ではモンゴルでは1.5%、中国では6.6%、パラグアイでは12.6%の家畜がT.evansi感染陽性であることが判明した。
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Research Products
(1 results)