2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06444
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大橋 和彦 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RAADAN Odbileg 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | トリパノソーマ原虫 / 分子疫学調査 / Internal transcribed spacer |
Research Abstract |
トリパノソーマ原虫(Trypanosoma evansi)を含め、原虫ゲノムにおける遺伝子多型は疫学的な重要性のみならず、薬剤耐性や原虫の病原性など生物学的性状との関連においても重要である。Internal transcribed spacer(ITS)は、18S、5.8S、あるいは28SリボゾームRNA遺伝子の反復配列領域にあり、ゲノムあたり、100〜200コピー存在している。ITSはこれまで遺伝子マーカーとして、各原虫株の分類、進化系統樹解析に用いられてきた。トリパノソーマ原虫は、野外において治療薬に耐性を示す薬剤耐性株が出現しており、今後重要な問題となってくる。しかし、その薬剤耐性機構については、不明な点が多く遺伝子多型と薬剤耐性の関連については、全く知られていない。そこで本研究では、T.evansiのITS領域における遺伝子多型とそれが原虫の生物学的性状に及ぼす影響(特に薬剤耐性)について検討した。 フィリピンにおいて、異なる5頭のT.evansi感染水牛から血液由来ゲノム材料を採取し、このゲノム材料から検出したT.evansiのITS領域(31クローン)を水牛由来T.evansiおよびGenBankなどに登録してある各種トリパノソーマ原虫の配列と比較解析した。その結果、T.evansi特異的遺伝子多型を同定したので、さらにITS配列に基づく系統樹解析を行い進化学上の遺伝子変化の同定を試みた。系統樹解析により、今回検出されたT.evansiのITS領域は、T.bruceiやT.congolenseのITS配列とは別の系統に分類され、いくつかのクローンは、既に報告されているT.evansi B18と同系統に分類され、このクローンとの進化上の関連が示唆された。
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Research Products
(2 results)