2007 Fiscal Year Annual Research Report
家畜におけるカビ毒トリコテセンの生体内運命と代謝の研究
Project/Area Number |
06F06448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊谷 進 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
POAPOLATHEP Amnart 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | カビ毒 / トリコテセン / 代謝 |
Research Abstract |
フザリウム毒素は食品や飼料を広く汚染し、ヒトや動物再健康障害を引き起こす。同カビ毒のうち最も高頻度で自然汚染が見られるデオキシニバレノール(DON)とフモニシンについては、知見が数多く得られているが、DONとともに産生されるニバレノール(NIV)に関する毒性学的知見は少なく、特に動物体内における動態の詳細はいずれの毒素についても不明である。本研究の目的は、家畜と家禽におけるDONの体内運命と卵への移行様式を明らかにするとともに、NIV等の他のカビ毒との同時投与の影響を究明することにある。これにより、毒性発現機序の重要な側面が解明されるとともに、家畜由来食品中の残留カビ毒のリスク評価が可能となる。本年度は以下の研究を行なった。まず、ブタの臓器、血液からDONの抽出、精製、HPLC条件を添加実験により検討し、LC/MS/MSを用いる最適な分析方法を見出した。前もってナリンゲニンを経口投与した投与群とその対照群に、DON(1mg/kg)を静脈内投与後20時間まで遂時的に血液を採取した。20時間目に安楽死させ、肝臓等の臓器を採取した。血漿中のDON濃度を測定し、薬物動態パラメーターを求めた結果、DONの消失半減期は、投与群において対照群よりも短いことが認められたことから、ナリンゲニンがDONの排泄を促進する作用をもつことが示された。毒性に対する影響については次年度に検討する。 ニワトリとアヒルの肝臓等実質臓器組織の細胞分画を用意し、各分画によるフザレノンXの代謝をin vitro実験により調べた。代謝物をLC/MS/MSにより分析した結果、特に肝組織においてフザレノンXからNIVへの変換が高率で認められたことから、哺乳動物と同様に家禽類においても肝臓においてフザレノンXからNIVへの代謝変換が起こることが判明した。
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Research Products
(4 results)