2006 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるゲノムの再編技術の開発と有用菌株育種への応用
Project/Area Number |
06F06450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 連姫 大阪大学, 大学院工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酵母 / リボソームRNA / ゲノム育種 / 核酸調味料 |
Research Abstract |
本年度は、細胞内RNA含量を高めるためrDNAのコピー数を増加させることを考え、2つのrDNAクラスターを持つ異数体酵母株の構築を計画した。このためにまず、正常な第12番染色体を持つ株(SH6602株)とTRP1マーカーによってマークされた「rDNA人工染色体」を持つ株(ID-12株)を交雑し、四分子解析を行った。その四分子の中でTrp^+でしかも2つの胞子が生存したものを選別し、CHEFパルスフィールド電気泳動による核型分析とサザン解析によって正常な第12番染色体に加えてrDNA人工染色体を保有している6つの株を選別した。親株であるID-12株のrDNA人工染色体の長さは、これまでの研究によって、約1500kbであることがわかっており、これは、rDNA遺伝子の約150コピーに相当する。従って、これらの株におけるrDNA遺伝子のコピー数は、12番染色体由来のものと合わせて、合計で約300コピーであると予想される。実際、この6つの株のゲノムDNAを制限酵素で切断し、18SとADE2(ゲノム当たり1コピーの内在性コントロール)をプローブとしたサザン解析の結果から、予想通り、rDNA遺伝子のコピー数が約270〜375コピーである事が明らかになった。次にrDNA遺伝子のコピー数が増加した6つの株について、rRNAの含量をReal time RT-PCR法及びPerchloric acid法を用いて測定した。その結果、いずれについてもrRNA含量は親株と比べ有意な差は見られなかった。これらの株はいずれの株も野生型1倍体株が持つ150コピーよりrDNA遺伝子のコピー数が増加していたので、この結果は、rDNAのコピー数が増加しても、必ずしもrRNA含量が高くはならない可能性を示唆している。この可能性については、今後さらに慎重な解明が必要であると考えている。
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