2007 Fiscal Year Annual Research Report
出芽酵母におけるゲノムの再編技術の開発と有用菌株育種への応用
Project/Area Number |
06F06450
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原島 俊 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 連姫 大阪大学, 大学院・工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 酵母 / rRNA含量 / RRN10遺伝子 / 抑圧変異 |
Research Abstract |
本年度は、細胞内RNA含量を高めるためrRNA遺伝子の転写上昇を示す変異株の分離を計画した。RNAポリメラ-ゼIによるrRNA遺伝子の転写にはUAF(Upstream Activation Factor, RRN5, RRN9, RRN10からなる複合体)と呼ばれる転写活性化因子が必要である。この因子の活性を無くするとrRNA遺伝子の転写がほとんど起こらなくなり、増殖が著しく阻害される。そこでまず、RRN10遺伝子をPCRによって破壊することにより増殖が阻害されたrrn10株を取得した。実際にrRNA含量が減少しているかどうかをreal time RT-PCR法を用いて確認した結果、野生型株に比べrRNA含量が30〜40%減少している事が分かった。続いて、そのrrn10破壊株のEMS(ethylmethanesulfonate)処理により突然変異を誘導し、増殖が回復した7つの抑圧変異株を分離した。この抑圧変異株を用いた遺伝学的解析からすべての抑圧変異が優性変異である事、それらの変異は単一遺伝子の変異ではなく多重変異である事が分かった。次に抑圧変異株におけるrRNA含量を測定した結果、抑圧変異株ではrrn10破壊株に比べてRNA含量が約20〜50%増加していた。今後は、これらのrrn10破壊変異を持つ抑圧変異株にRRN10遺伝子を導入する事により、野生型の遺伝背景でrRNA含量の高い株を同定する予定である。その後、交雑によって、この抑圧変異を平成18年度に育種したrDNA遺伝子のコピー数の上昇を示す株に導入し、野生型株よりさらに高いrRNA含量を持つ株が育種することを計画している。
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Research Products
(1 results)