2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病予防に有益な運動誘発性ERストレスの分子経路
Project/Area Number |
06F06452
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 英昭 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CUSTER C.Deocaris 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 軽運動 / アルツハイマー病 / 海馬 / 認知機能 / BDNF / 神経新生 / DNAアレイ / プロテオミクス |
Research Abstract |
我々は、運動がアルツハイマー病(AD)などの認知症に有効かどうかを検討するために、まず、海馬の活性化や可塑性を促進する運動強度に着目し検討した。運動強度は、独自のラット走運動モデルを用い、乳酸やコルチコステロン分泌を伴う(SE)/伴わない(NSE)運動強度を設定した。その結果、海馬は両条件とも同等にc-fos遺伝子発現を高めることから低強度(NSE)でも十分活性化しうることが明らかとなった。この応答は連携する視床下部とは異なる点で興味深い。一方、ADの20-70%で減少するとされる脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現(遺伝子/タンパク質)は30分の走運動後に増加傾向を示したが、低強度群のみが2〜6時間後に有意となった。さらに、この条件で2〜6週間に及ぶ走運動トレーニングをラットやマウスに課し、神経新生や認知機能に及ぼす効果を検討した。今のところ、ラット/マウス共に、2週間のトレーニングで両群ともに海馬歯状回での神経新生を高めることから、低強度でも十分可塑性を高めることが明らかとなった。認知機能は6週間で増加する傾向にあり、その際、低強度がより高い効果のあることを示している。現在、その際の神経新生、ならびに、それに関わる分子機構をtranscriptome(DNAマイクロアレイ)とプロテオーム解析(2-DEゲル)を結合させ、最終的にはbioinformaticsを利用して関連因子を網羅的につきとめる最新の方法を応用している。これまで、海馬に対する運動効果についてはDNAアレイ(Molteni, et. al.,2002;Tong等、2001)、プロテオミクス(Dingら、2006)らしか報告がない。この解析が完了すれば、当初想定したERストレス関連のシャペロン分子のみならず、それらがどう神経栄養因子や情報伝達因子と関係するかについて生理学的な理解が可能となる
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Research Products
(2 results)