2006 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化多糖を介する癌細胞浸潤のメカニズム:低分子化合物をツールとした解析
Project/Area Number |
06F06453
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BASAPPA 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | グリコサミノグリカン / 癌 / 転移 / ヘテロ環化合物 / ナノパーティクル / 硫酸 |
Research Abstract |
硫酸化グリコサミノグリカン糖鎖は、多くの重要な生命現象に不可欠の役割を果たしており、いくつかのグリコサミノグリカン合成酵素遺伝子の変異が癌や他の遺伝病の原因となっている例が報告されている。本研究では、グリコサミノグリカンに依存した癌細胞の浸潤の分子メカニズムを解析しようとしている。平成18年度は、以下の実験を行った。 1.いくつかの高転移性の癌細胞に対し、我々がこれまでに合成していた多くのヘテロ環化合物を用いて、in vitroでの浸潤や移動の阻害実験を行なった。その結果、マウスの高転移性骨肉腫細胞株LM8G7の浸潤、移動の両方に対し、有意な阻害活性を見いだした。特に、オキサジナン、1,2-ベナジソキサゾール、1,2,4-トリアゾールの誘導体に強い活性が見いだされた。我々はまた、LM8G7の増殖に対するこれらの合成化合物による阻害実験を行い,幾つかのものについて、220-240mMでの強い阻害活性を見いだした。また同時に、マウス尾静脈より注入したLM8G7細胞による肝臓への転移能に対するこれらの化合物の阻害活性についても調べた。 2.我々がこれまでに合成していたヘテロ環化合物を生物応用するために、ナノパーティクルの作製を行った。ナノパーティクル表面上の多くの機能をコントロールするために、アフィニティークロマトグラフィーの技術を用いて、明確な数の機能を持ったナノパーティクルを作製することは実験的に容易である。まず、非ペプチド性のリンカーを用い、0.2mMの濃度で14時間インキュベートすることにより金コロイドを保護した。これらのリンカーは単一の機能をもったタンパク質様の金ナノパーティクルを調製するのに利用できるであろう。これは、グリコサミノグリカンの配列解析や、抗腫瘍活性をもった合成化合物とグリコサミノグリカンとの直接の相互作用を研究するのに利用できる。
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Research Products
(1 results)