2008 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化多糖を介する癌細胞浸潤のメカニズム:低分子化合物をツールとした解析
Project/Area Number |
06F06453
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BASAPPA 北海道大学, 大学院・先端生命科学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | グリコサミノグリカン / 癌 / 転移 / ヘテロ環化合物 / コンドロイチン硫酸 / 硫酸 / ナノパーティクル |
Research Abstract |
硫酸化グリコサミノグリカン糖鎖は、多くの重要な生命現象に不可欠の役割を果たしており、いくつかのグリコサミノグリカン合成酵素遺伝子の変異が癌や他の遺伝病の原因となっている例が報告されている。本研究では、グリコサミノグリカンに依存した癌細胞の浸潤の分子メカニズムを解析しようとしている。平成20年度は、以下の実験を行った。 1.糖と類似の作用を所有することが予想される新規のヘテロ環化合物を多数設計、合成した。新開発のSPR画像処理装置によって、TNF-α、HB-EGF、VEGFなどのいくつかのサイトカイン/増殖因子との結合能を検出した。 2.肝臓へ転移するマウス骨肉腫細胞株LM8G7由来のコンドロイチン硫酸/デルマタン硫酸(CS/DS)鎖の特徴を明らかにした。LM8G7細胞を接種して作成された腫瘍組織から抽出したCS/DS鎖は、VEGFやストロマ細胞由来因子-1βなどのヘパリン結合性増殖因子と強く相互作用した。これらの相互作用から、骨肉腫の進行における高硫酸化CS/DS構造の重要性が推定された。 3.CS/DS鎖のウロン酸残基のアイソタイプの同定を、CS、DS鎖中のN-アセチル-D-ガラクトサミンのN-アセチル基の^1H-NMRでのプロトンシグナルを解析することによって達成した。この結果に基づき、CS/DS混成糖鎖におけるイズロン酸とグルクロン酸残基の比率を決定するための、高感度で、非破壊的な新規の方法を報告した。
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Research Products
(4 results)