2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内レドックス分子イメージングのための新規ニトロキシルラジカルの開発・評価
Project/Area Number |
06F06454
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内海 英雄 九州大学, 大学院薬学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOMIYA Krishnamoorthi Mothilal 九州大学, 大学院薬学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | ニトロキシルラジカル / 酸化ストレス / 抗酸化物質 / 電子スピン共鳴 / 酸化還元 / 電気化学 |
Research Abstract |
生体内で産生されるフリーラジカルは抗酸化物質と共に酸化・還元、すなわち生体内レドックス状態の恒常性維持に寄与しているが、このレドックスバランスが破綻すると生活習慣病など様々な酸化ストレス性疾患の発症や進展を引き起こすと考えられる。我々はこれまで、ニトロキシルラジカルをフリーラジカル反応の造影剤として使用し、酸化ストレス性疾患でのフリーラジカル変動を無侵襲的に解析してきた。そこで本研究は、ニトロキシルラジカルの物理的性質を正確に把握し、かつ、生体内のレドックス変動及びフリーラジカル反応にマッチした新規ニトロキシルラジカルを開発・評価することで、酸化ストレス性疾患の病因解明、さらに創薬研究・治療戦略の構築を行うことを目的としている。 本年度は、ニトロキシルラジカルの物理化学的性質を明らかにすべく、電気化学的性質の解析に焦点を絞り研究を行った。その結果、既存のニトロキシルラジカルとスーパーオキシドラジカル、あるいは抗酸化物質であるアスコルビン酸の反応はそれぞれの酸化還元電位で説明できることが分かった。一方で、当研究室で新た合成したニトロキシルラジカルは、アスコルビン酸とほとんど反応しないことをX-band ESRを用いて明らかにした。これは、新たに開発したニトロキシルラジカルの酸化還元電位がアスコルビン酸に比べ低いことを明らかにした。 以上、本研究から、ニトロキシルラジカルの酸化還元電位を制御することで実際に還元物質との反応性を変えることに成功した。今後、さらに開発を進めることで、生体内レドックス状態を解析するために適したニトロキシルラジカルの基礎的知見を得ることができると考えている。
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