2006 Fiscal Year Annual Research Report
漢方薬の肝毒性における代謝酵素チトクロームP450とトランスポーターの関与
Project/Area Number |
06F06456
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
杉山 雄一 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GONG Li-Kun 東京大学, 大学院薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 肝細胞 / 経細胞輸送 / 代謝酵素 / トランスポーター / sandwich culture培養 / 胆汁排泄 |
Research Abstract |
薬物の肝臓における血管側から胆管側にいたる経細胞輸送を観察するための実験系として利用するために、本年度は、sandwich culture培養肝細胞の実験系の確立・最適化を目的として、ラット肝細胞を用いて実験を行った。方法論としては複数の文献報告があるが、ゲル成分への薬物の吸着や肝細胞の機能維持などの観点から、最も薬物の経細胞輸送アッセイを行うのに適した系としては、下層にcollagen type Iがコートされたdishを用いて、上層には、matrigelをオーバーレイしたものが最適であることを見出した。また、その状態で、taurocholateやDPDPE, rosuvastatinなどの経細胞輸送をCa^<2+>イオンの有無の条件下で確認したところ、bile pocketへの時間依存的な蓄積が確認され、本実験系が、in vivoにおける胆汁排泄を模倣したin vitro実験系として利用可能であることが示唆された。さらに、carboxydichlorofluorescein(CDF)のdiacetate体をあらかじめ肝細胞に取り込ませた後に、carboxyesteraseにより切断されて蛍光を発するCDFの出現の時間推移を観察したところ、Ca^<2+>がある条件下でのみ、CDFの蛍光が時間依存的にbile pocketに蓄積する様が、蛍光顕微鏡により確認され、Ca^<2+>がない条件では、その蛍光が見受けられないことが示されたことから、Ca^<2+>があると、bile pocketが閉鎖しておりCDFの蓄積が見られる一方、Ca^<2+>がない条件では、bile pocketが開放されており、蓄積が見られないことが確認された。これらの検討により、in vitroにおいて薬物の肝臓における経細胞輸送を反映する実験系を作製することができ、次年度以降の解析系として利用していく予定である。
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