2006 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームの異常と発がん:ゼブラフィッシュを用いた解析
Project/Area Number |
06F06457
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
剣持 直哉 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAKRABORTY ANIRBAN 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 外国人特別研究員
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Keywords | リボソーム / 発がん / 胚発生 / ノックダウン / 翻訳調節 / アポトーシス / ゼブラフィッシュ / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
リボソームはすべての生物にとってきわめて重要なタンパク質合成装置である。リボソーム構成成分の量的変動がリボソームの機能を変化させ、細胞のがん感受性を高める可能性がある。本研究は、モデル動物としてゼブラフィッシュを用いてリボソームの異常と発がんとの関連を解明することを目的とする。本年度は以下の解析を行った。 1.RP遺伝子ノックダウンモデルの作製 リボソーム変異モデルを作製するために、モルフォリノアンチセンスオリゴをゼブラフィッシュの受精卵に注入して、RP遺伝子の翻訳を阻害した。RPL11とRPL23遺伝子のノックダウン個体では頭部と尾部に異常がみられ、RPL35とRPL35a遺伝子では体幹部と血液循環に異常がみられた。 2.RP遺伝子の過剰発現モデルの作成 in vitro転写系で合成したRPL15遺伝子のmRNAをゼブラフィッシュの受精卵に注入して過剰発現させた。受精後24時間では特に異常は観察されなかった。しかし、さらに観察を続けたところ、9日から22日後に内蔵とくに肝臓の形成に異常がみられた。 3.ノックダウン個体におけるがん関連遺伝子の発現解析 RPL11およびRPL23遺伝子のノックダウン個体からRNAを抽出し、がん抑制遺伝子p53の発現変動をRT-PCRにより調べた。その結果、p53mRNAのレベルが上昇するとともに、アポトーシス経路に関わるcaspase 3、baxの発現も上昇していることが明らかになった。また、ゼブラフィッシュ胚をタネル法で染色したところ、中脳、後脳部分に強いアポトーシスシグナルが観察された。RP遺伝子のノックダウンによりp53が活性化されアポトーシスが誘導された可能性が考えられる。
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Research Products
(2 results)