2008 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームの異常と発がん:ゼブラフィッシュを用いた解析
Project/Area Number |
06F06457
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
剣持 直哉 University of Miyazaki, フロンティア科学実験総合センター, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHAKRABORTY ANIRBAN 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 外国人特別研究員
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Keywords | リボソーム / 発がん / 胚発生 / ノックダウン / 核小体 / アポトーシス / ゼブラフィッシュ / リボソームタンパク質 |
Research Abstract |
リボソームはすべての生物にとってきわめて重要なタンパク質合成装置である。リボソーム構成成分の量的変動がリボソームの機能を変化させ、細胞のがん感受性を高める可能性がある。本年度は、リボソームタンパク質L11(rpl11)の遺伝子のノックダウンとP53の活性化および核小体ストレスとの関連を解析し、以下の成果をあげた。 1.リボソームタンパク質L11の欠損とp53の活性化 ゼブラフィッシュの刑rpl11遺伝子をMOを用いてノックダウンしたところ、受精後24時間で、頭部、尾部、色素沈着などに異常がみられ、受精後4日では、頭部、眼球の発達遅滞が著しく、内臓の形成不全も観察された。タネル法によりアポトーシスを検出した結果、これらの部位で細胞死を起こしていることが明らかになった。そこで、p53および関連遺伝子の発現を解析した結果、p53の活性化によりアポトーシスが促進されていることが確認された。これは以前の培養細胞を用いた研究と逆の結果であり、発がんにおけるリボソームの新たな関わりを示唆している。 2.リボソームタンパク質L11の欠損と核小体ストレス L11のノックダウン胚における核小体タンパク質(wdr36,wdr55,bap28,rrs1,bxdc1,nc1,gnl3,pes,bop1)の発現を転写レベルで調べた結果、gnl3とbop1の発現が上昇していた。また、in situハイブリダイゼーションによる観察においても、これら遺伝子の発現が頭部で亢進していることが確認され、これは、L11のノックダウン胚で見られる表現型の異常と良く一致していた。さらに、発現のタイムコースを調べたところ、これら遺伝子の発現の上昇はP53の活性化とも相関していた。これは、L11のノックダウン胚におけるp53の活性化が、核小体タンパク質の過剰発現により引き起こされる可能性を示している。
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