2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規セリン/スレオニン・キナーゼPim-3の膵臓がんの進展過程における役割の解明
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06F06459
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
向田 直史 金沢大学, がん研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 影奕 金沢大学, がん研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | Pim-3 / 分子標的治療 / RNA干渉法 / アポトーシス / 内胚葉臓器 / セリン / スレオニン・キナーゼ / Bad |
Research Abstract |
セリン/スレオニン・キナーゼであるPim-3の発現が膵臓がん組織で亢進しているのみならず、膵臓がん細胞株において発現が亢進しているPim-3が好アポトーシス分子であるBadの112番目のセリン残基をリン酸化して不活化し、アポトーシスを抑制していて、このことが膵臓での癌化に関与している可能性を我々は報告している。膵臓と同様に内胚葉由来臓器である大腸の前癌ならびに癌病変でのpim-3の発現を免疫染色法にて検討した結果、腺がんの存在しない正常粘膜ではpim-3が検出されないのに対して、腺がん病変周囲の正常粘膜の約20%、アデノーマの約90%、腺がん病変の約55%で、Pim-3タンパクが検出された。さらに、ヒト大腸がん細胞株の全例でpim-3タンパクが検出され、大腸がん細胞でのPim-3の恒常的な発現をRNA干渉法によって抑制すると、subG1期に属する細胞とアネキシンV陽性の細胞が増加することから、アポトーシスが誘導されたと考えられた。ヒト大腸がん細胞株では、ヒト膵臓がん細胞株と同様に、pim-3と好アポトーシス分子であるBadが共局在していることが、二重免疫染色法・免疫沈降法より明らかとなった。大腸がん細胞株では、Badの112番目のセリン残基がリン酸化された不活型として存在していたが、Pim-3の発現をRNA干渉法にて抑制すると、このリン酸化が減弱する結果が得られた。さらに、ヒト大腸がん組織中のがん細胞においてPim-3とBadとは共局在していた。したがって、Pim-3はBadの112番目のセリン残基のリン酸化によってBadの不活化を起こすとともに、アポトーシスを抑制することによって、内胚葉由来臓器でのがん化に関与している可能性が示唆された。pim-3がBadの112番目のセリン残基を選択的にリン酸化することに基づいたPim-3の試験管内での活性測定法を確立し、pim-3の阻害剤のスクリーニングに着手している。
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Research Products
(2 results)