2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルスベクターを用いた効率良い遺伝子修復による造血系遺伝病の治療法の開発
Project/Area Number |
06F06460
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
三谷 幸之介 Saitama Medical University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PAIBOONSUKWONG K 埼玉医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 遺伝子治療 / ウイルスベクター / 遺伝病 / 遺伝子修復 |
Research Abstract |
ウイルスベクターを用いた造血細胞での遺伝子修復の可能性を探るために、ヒトHPRT遺伝子座配列とネオマイシン耐性遺伝子とをコードしたアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて正常B細胞株(BCL)を感染し、染色体組み込み頻度ならびに相同組換え頻度を測定した。また、正常なファンコニ貧血A群(FANCA)遺伝子座の一部をコードしたAAVベクターを用いて、FANCA患者由来BCLでの相同組換えによる遺伝子修復に成功した。これは、造血細胞でヒト遺伝病の病因遺伝子を修復した最初の例である。 最終的な遺伝子修復は、感染細胞あたり0.016%(感染細胞6000-7000個に1個)の頻度で得られた。こうして得られたいくつかの修復細胞クローンについて、変異エクソンのDNA塩基配列の決定とサザン法による周辺染色体領域の構造解析により、DNAレベルで正確な修復がされていることを確認した。また、タンパク質レベルでも、ウエスタン法によりFANCAタンパク質の発現を確認した。さらに、細胞機能上の修復を検討するために、ウエスタン法によるモノユビキチン化されたFANCD2タンパクの検出と、マイトマイシンC存在下の細胞の増殖曲線を調べた。その結果、機能的にもこれらFANCA遺伝子修復細胞クローンは正常BCLと変わりがないことを確認した。 今後、ベクター濃度を上げる等の工夫により、さらなるFANCA遺伝子の修復効率の改善を目指す。また、ヒト造血幹細胞(CD34陽性細胞)に対してHPRT遺伝子座における相同組換え頻度を検討することにより、AAVベクターを用いた遺伝子修復を、安全で安定な遺伝子治療法としてさらに実用化を目指して開発・改良する可能性について検討する予定である。
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