2006 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカの熱帯熱マラリア流行国シエラレオネにおける原虫遺伝子の進化に関する考察
Project/Area Number |
06F06461
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
松岡 裕之 自治医科大学, 医学部, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JALLOH Amadu 自治医科大学, 医学部, 外国人特別研究員
|
Keywords | マラリア / アフリカ / シエラレオネ / ワクチン / グルコース6リン酸脱水素酵素 / 先天性代謝異常症 / 分子疫学 / 人類遺伝学 |
Research Abstract |
アフリカの熱帯熱マラリア流行国であるシエラレオネの首都にある病院と連携を取って,熱帯熱マラリア患者の血液サンプルを集めてもらった。そのサンプルからDNAを抽出し,ワクチン候補抗原として有望視されているタンパク遺伝子csp遺伝子を読んでいった。そのなかでとりわけT cellレセプターとして知られているResion IIとResion IIIと呼ばれる部分を詳細に読み取り,アミノ酸配列に置き換えて各株間の変異を比較した。75サンプル余り読んだ途中経過として (1)シエラレオネの熱帯熱マラリア原虫のCSPのResion IIおよびResion IIIには多様性が認められた。その変異型は20種類以上に上った。 (2)先年調査した東南アジアにおける熱帯熱マラリア原虫CSPのResion II, Resion IIIの成績(Jalloh et al. 2006)と比較したところ,これまでとは異なった変異型が認められた。また東南アジアにおけるよりさらに多くの変異型が分布していた。 このことはシエラレオネにおいては,蚊とヒトとの伝播サイクルが頻繁に回っていて,原虫の遺伝子に新規の変異が次ぎ次ぎと生み出されていることを示唆している。このような状況においては,たとえばCSPをワクチンとして使用する以前に,まず媒介蚊を減らす努力を行なうべきではないかと考える。 また同じ血液サンプルを用いてグルコース6リン酸脱水素酵素(G6PD)の活性を検査し,活性低下者を見つけ出した。欠損者のG6PD遺伝子を読み取り,従来アフリカ人のG6PD欠損者から報告されているG6PD A-およびG6PD A+の2型を見いだした。
|
Research Products
(4 results)