2007 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞死における膜ミクロドメインを介したアポトーシス誘導脂質セラミドの役割
Project/Area Number |
06F06466
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岡崎 俊朗 Tottori University, 医学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MOHAMED A.M 鳥取大学, 医学部, 外国人特別研究員
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Keywords | セラミド / スフィンゴミエリン / トランスフェリン / 細胞死 / トラフィッキング / 白血病細胞 |
Research Abstract |
セラミドが従来果たしてきたアポトーシス誘導課程における意義とは異なる、新しい細胞増殖機構における細胞内トラフィッキング制御分子としての役割を示唆する研究を行った。これまで、様々なアポトーシス誘導分子の活性化がセラミドの下流域で誘導され、細胞死が誘導することを示してきたが、近年、細胞膜におけるミクロドメインの解剖学的形成にセラミドが不可欠で、この際には、膜貫通受容体の性質により細胞死と細胞増殖のシグナル伝達のスイッチが入る可能性が考えられている。今回、ミクロドメインとして脂質ラフトとは構造が異なり、異なるシグナルに関連すると考えられるトランスフェリン(Tf)受容体の細胞内トラフィックにおけるセラミド、ならびにスフィンゴミエリン(SM)の意義を、我々が樹立した細胞膜にSMを合成しない細胞群を用いて比較検討した。結果として、SMを産生することが不可能な白血病細胞WR/19L-SMS(-)では、細胞膜にSMが存在するSMS(+)に比べてTf受容体の細胞内取り込みが遅延することが判明し、外来性のSMを添加することで、Tfの取り込み能が回復した。この際に、SM(-)細胞での細胞増殖能も同時に回復した。さらに、SM(+)細胞にスフィンゴミエリナーゼを処理することで、細胞膜のSMを減少させ、セラミドを増加することで、Tfの取り込みが抑制され、分解系が細胞内で活性化することで、細胞増殖を抑制することが判明した。以上、白血病細胞でのclathrin-coated pitsを介した増殖シグナルにSMSによるSM産生が重要であることが判明した。
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