2008 Fiscal Year Annual Research Report
傷害肺による遠隔臓器障害の機序-遊離環流肺標本での虚血再環流障害モデルでの検討
Project/Area Number |
06F06471
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
今井 孝祐 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GEORGIEVA G. S 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 遊離肺還流 / 虚血 / 再勧誘 / サイトカイン / TNF-α / 過換気 |
Research Abstract |
ラット遊離環流肺標本で左肺を1時間虚血にさらした後、30分間再環流を行なう(この間、両側肺は5%CO2加空気で換気して正常組織酸素/炭酸ガス分圧を保つ)。このモデルでTNF-αが虚血肺で産生されて還流液にSpill-overして、還流液を介して健側肺の傷害を来すことを立証してきた。しかし、従来、遊離環流肺モデルでの成績では、還流液にTNF-αを外因性に加えても肺血管内皮/肺胞上皮の透過性亢進を来さないことが報告されてきた。我々は従来の報告に準じる方法で還流液にTNF-αを添加して、経時的に遊離環流肺標本で肺血管内皮/肺胞上皮の透過性亢進を観察した。その結果、遊離環流肺標本は還流時間を2時間維持することで、培養血管内皮細胞と同様に、血球、神経系の関与を除外できる遊離環流肺標本でTNF-αを作用させることにより肺血管内皮/肺胞上皮の透過性亢進をきたすことが立証できた。TNF-αは虚血/再環流傷害、過換気肺障害で主要なmediatorと考えられてきたが、遊離環流肺標本で外因性に加えたTNF-αが傷害を来さないことは、その機序に疑問を抱かせるものであった。従来報告されてきた遊離還流肺標本ではTNF-αを還流液に加えても肺傷害が起こらないという報告は、観察時間の不足という単純な誤りであることを実証した。我々の成績はこの疑問に答えるものであり、また、TNF-αが白血球の関与なしに直接に肺血管内皮/肺胞上皮の透過性を亢進させることを立証したものであり、この分野の基礎的研究に貢献し、虚血再環流傷害、過換気肺の傷害機序、遠隔臓器傷害の機序解明につながるものである。
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Research Products
(9 results)