2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06554
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
今村 隆史 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 領域長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
VAIDYANATHAN Venkatesan 独立行政法人国立環境研究所, 大気圏環境研究領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機エアロゾル / 反応速度定数 / 芳香族炭化水素 / シクロヘキサジエニルラジカル / レーザー誘起蛍光 |
Research Abstract |
芳香族炭化水素は都市大気中での人為起源炭化水素の中で二次有機エアロゾル生成に最も寄与していると考えられている炭化水素である。芳香族炭化水素の大気中での化学反応は主としてOHラジカルが芳香環に付加してシクロヘキサジエニル型ラジカルを生成する反応である。しかしながらシクロヘキサジエニル型ラジカルの後続反応については充分な情報が得られていない。そこで、シクロヘキサジエニル型ラジカルのプロトタイプである、ベンゼンに水素原子が付加したC6H7ラジカルとO2ならびにNOとの反応を室温において、レーザー誘起蛍光法(LIF)によって速度測定を行った。LIFによる検出はこれまでのUV吸収法とは異なり、C6H7を分光学的に選択的に検出できる点が特徴で、反応生成物による妨害(吸収の重なりなど)を受ける事なく速度測定が出来た。その結果、O2との反応は圧力に依存せずに進行し、二分子反応(生成物はHO2+ベンゼンと考えられる)である事が示された。反応速度定数は他のアルキルラジカル+O2の反応速度定数に比べ2桁から3桁程度小さいが、他のヒドロキシシクロヘキサジエニル型ラジカルに比べると1〜2桁程度大きい値である事が示唆された。一方、NOとの反応は圧力に依存すると共に、C6H7の減衰も単一指数関数型ではなく、平衡反応である事が分つた。またNOとの反応が圧力に依存する事から測定を行った圧力量領域(10-100Torr)では、まだC6H7+NO反応が高圧極限領域に足していないことが分った。
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