2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ神経系におけるシナプス形成の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
06F06573
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
岡本 仁 (独)理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, グループディレクター
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAMPBELL Douglas Simon (独)理化学研究所, 発生遺伝子制御研究チーム, 外国人特別研究員
|
Keywords | ゼブラフィッシュ / 視神経 / 神経軸索分岐 / 視蓋 / 蛍光蛋白 / Rab3a / シナプス / イメージング |
Research Abstract |
ゼブラフィッシュにおけるシナプス形成の分子細胞生物学的機構を解明するために、現在2つのアプローチで研究を行っている。 1)シナプス形成に関わる可能性がある候補分子の探索 2)生きた胚の中でのシナプス形成過程の可視化 候補分子の同定のため、Caspaseファミリーのメンバーの発現パターンを調べた。これらの分子は、これまでアポートーシスに関わることが知られていたが、更に、神経軸索の縮退や成長円錐の誘導でも重要な役割を果たすと考えられるようになってきた。ゼブラフィッシュ胚の様々な発生段階でCaspase3の発現パターンを調べたところ、受精後24時間目は、全身で発現していた。48時間目までには、脳の特定の部分と、眼の神経節細胞に限局して発現した。76時間目も、発現パターンに変化はなかった。Caspase9の発現レベルはもっと低く、全身にまんべんなく発現していた。網膜神経説細胞は、受精後76時間目頃に網膜と視蓋の中でシナプスを形成するので、Caspase3はこの過程に関与する可能性がある。 brn3cかisl3プロモーターのもとでGal4を発現するためのプラスミドと、UASの下流でYFP-Rab3aを発現するプラスミドを共注入することによって、個々の神経節細胞の標識を行った。YFP-Rab3aはシナプス小胞の膜に局在するRab3aと黄色蛍光蛋白の融合蛋白である。神経節細胞の軸索の枝分かれの継時的観察は、Zeiss510METAレーザー走査型共焦点顕微鏡を使って行った。このシステムを使って、神経軸索が枝分かれし、シナプスを作っているときの、軸索先端やシナプス局在シグナルの挙動を調べる予定である。また、様々な遺伝子の発現を人工的に乱すことが、この過程にどのような影響を及ぼすのかを調べる。現在、Robo-Slitリガンド・受容体による細胞内シグナルがYFP-Rab3aの点状局在シグナルの挙動に与える影響を調べている。また、遺伝学的相互作用の研究から、Slit1aが網膜神経節細胞のシナプスの数を調節する過程には、Robo依存的と非依存的な過程があることも明らかにした。
|