2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06607
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
末永 和知 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUAN Lunhui 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノカーボン研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノチューブ / フラーレン / ナノデバイス |
Research Abstract |
平成18年度は、カーボンナノチューブへのハロゲン元素およびアルカリ金属元素などのドーピング実験に着手した。とくに気相法によるドーピング実験のために、真空ラインの設計開発やグローブボックスの新設など、必要なインフラ整備を行った。また構造観察のための高分解能電子顕微鏡球面収差補正機構の応用に関しても、充分議論し試験的な利用を開始した。アルカリ金属のドーピングにおいてはポタシウム金属のドーパントサイトについて最近公表された理論計算結果を踏まえて我々の実験結果を議論した。またハロゲン元素に関しては、カーボンナノチューブおよびカーボンピーポッドへのヨウ素のドーピングを試みた。ヨウ素はグラファイトインターカレーションを起こさない元素であり、そのカーボンナノチューブへのドーパント構造は、基礎科学的にたいへん興味深い。 カーボンナノチューブへのヨウ素ドーピングにおいては、ドーパントであるヨウ素がカーボンナノチューブ内で多様な構造をとることが実験的に示された。とくにカーボンナノチューブの直径に併せて、内部構造が変化することが初めて確認された。具体的には直径0.8nm以下のナノチューブ内では、ヨウ素原子は単一の一次元鎖を形成する。その後、直径の増大に併せて一次元鎖の数が、二本から三本へと変化する。ナノチューブの直径が1.4nm以上になるとヨウ素原子はナノチューブ内で結晶化するが、その結晶構造は小さい内部空間を反映してバルク構造とはかなり異なることが高分解能観察から明らかになった。
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