2007 Fiscal Year Annual Research Report
果樹へのスペルミジン合成酵素遺伝子導入がストレス応答性と形態形成に及ぼす影響解明
Project/Area Number |
06F06621
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
森口 卓哉 National Agricultural Research Organization, 果樹研究所・果樹温暖化研究チーム, チーム長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEN Xiaopeng 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹研究所・果樹温暖化研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | ポリアミン / スペルミジン合成酸素 / 組換え体セイヨウナシ / SPDS / リンゴ / 環境ストレス耐性 / 形態形成 |
Research Abstract |
ポリアミン生合成系酵素遺伝子の一つであるスペルミジン合成酵素遺伝子(SPDS)を導入して過剰発現させたセイヨウナシ組換え体を作出し、組換え体#32はNaCl(150mM)、マンニトール(300mM)、硫酸銅(500μM)に対して野生型(非組換え体)よりも強くなっていることを明らかにしている。#32が銅ストレスに対して強くなったことから、他の重金属ストレスに対する耐性を調べた。#32の培養シュートをCdCl_2、(150μM)、ZnCl_2(1500μM)、PbCl_2(1500μM)を含む培地で21日間培養し、成長程度、抗酸化酵素活性などを解析した。これらの重金属下ではセイヨウナシ培養シュートの成長は抑制されるが、有意に#32の抑制程度は野生型よりも小さく、抵抗性を示すことが明らかとなった。また、ストレス下で、superoxide dismutase(SOD)、glutathione reductase(GR)などの抗酸化酵素活性は、#32で高く、膜のリン脂質の傷害程度を示すMalondialdehyde(MDA)の値は小さかった。#32のスペルミジン(Spd)含有量は野生型よりも有意に高く、Spd含有量は抗酸化酵素活性とは正の、MDAとは負の相関関係を示し、SPDSの過剰発現により引き起こされた高いSpd含有量がストレスに強い原因の一つである可能性が示唆された。また、ポリアミンがセイヨウナシに環境ストレス耐性を付与する機構について知見を得るため、組換え体#32、野生型並びにSPDSアンチセンス組換え体との間でサブトラクションを行い、#32で発現が有意に誘導されている、あるいはアンチセンスで抑制されている遺伝子群を明らかにする研究に着手した。
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