2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物乳液に含まれる害虫制御に応用可能な殺虫タンパク質・二次代謝物質に関する研究
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06F06622
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
今野 浩太郎 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KABIR K.E 独立研究行政法人農業生物資源研究所, 昆虫-昆虫・植物間相互作用研究ユニット, 外国人特別研究員
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Keywords | 植物耐虫性 / 耐虫性タンパク質 / 植物乳液 / キチナーゼ / 囲食膜 / セラチア菌 / カルコフラワー / 囲食膜形成阻害 |
Research Abstract |
これまで本課題において、植物の防御タンパク質としての機能が推測され植物の防御組織である植物乳液に普遍的に存在する存在するキチナーゼ(キチン分解酵素)がエリサン等の昆虫に対して顕著な毒性・耐虫性を持つことを報告してきた。昨年度の結果(キチナーゼを摂食して死亡した個体で囲食膜だけでなく気管や表皮にも異変が見られ他事実やキチナーゼは皮下注射時と経口投与時で同様な症状すなわち表皮の黒変や急性の致死性をしめすこと)よりキチナーゼの耐虫性のターゲットが必ずしもこれまで定説として言われてきたようにキチンで構成された消化管内腔の囲食膜だけでないことを示唆していた。本年度はこの可能性を検討するため、キチンを分解はしないもののキチンに特異的に強固に結合して囲食膜の生成を阻害するカルコフラワーという試薬をエリサンに経口投与し、その後の症状・成長・致死性をキチナーゼを経口投与したときのそれと比較した。その結果、カルコフラワー投与時には囲食膜の形成は完全に阻害され消失したが(この点はキチナーゼと同じ)、キチナーゼと違いカルコフラワーは致死性ではなくエリサンに対する毒性は概して低かった。この結果は、囲食膜の破壊はそれが完全な破壊であっても、エリサンに対して致死性を持ち得ないことを示していた。本年の結果は前年度までの結果はともに、キチナーゼが昆虫に対して有する顕著な毒性のターゲットが囲食膜では無いことを示唆しており、定説を覆すものである。
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