2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物による土壌重金属の吸収におけるアーバスキュラー菌根菌共生の役割
Project/Area Number |
06F06624
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
大友 量 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所草地多面的機能研究チーム, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Baodong 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所草地多面的機能研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / カドミウム / ポリリン酸 / 土壌の重金属汚染 / ICP-MS |
Research Abstract |
先に提出した計画書に従い、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)共生と重金属吸収の関連について、特にポリリン酸代謝と金属イオン輸送に焦点を当てて研究している。そのために通常のポット栽培実験に加え、毛状根培養系を用いた解析を行う。本年度は11月1日に来日してから5ヶ月間の間に2回のポット栽培実験を行った。最初の試験(2006.12-2007.2)では3種のAM菌の共生が異なるリン酸施肥条件下でミヤコグサのカドミウム吸収に及ぼす影響を調査した。詳細なサンプルの分析は現在進行中であるが、生育などのデータを見る限り重金属毒性の発現がAM菌共生によるリン酸栄養状態の改善と密接に関連している、という我々の仮説を裏付ける結果が得られたと期待している。2回目のポット試験(2007.2-2007.4)ではAM菌共生が出来ない変異株と野生株を同じカドミウム汚染土壌に混植し、AM菌が土壌中のカドミウムの生物摂取可能性(bioavailability)に及ぼす影響を調査している。現在3回目のポット試験の準備を行っており、ここではカドミウム安定同位体を菌糸のみが侵入可能なコンパートメント内に用いる事によって菌糸のカドミウム吸収を直接評価する予定である。 これらの実験の合間に、いくつかの準備作業を行った。まず中国で分離したAM菌株の輸入と増殖を行っている。これらは後の実験で用いる予定である。また実験技術として、ICP-MSや原子吸光の測定法、リン酸の微量定量法や毛状根およびミヤコグサ根粒菌の維持・増殖方法を修得した。 その他の活動として、2006年12月7-8日に畜産草地研究所(つくば)と農業環境技術研究所を訪問し、これまでの研究経歴や日本での研究計画についてセミナーで講演すると同時に、関係研究者との情報交換および実験施設の見学を行った。
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