2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物による土壌重金属の吸収におけるアーバスキュラー菌根菌共生の役割
Project/Area Number |
06F06624
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
大友 量 National Agricultural Research Organization, 畜産草地研究所草地多面的機能研究チーム, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN Baodong 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所草地多面的機能研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | アーバスキュラー菌根菌 / カドミウム / ポリリン酸 / 土壌の重金属汚染 / ICP-MS |
Research Abstract |
菌根菌(AM菌)が植物による土壌中のカドミウム(Cd)の吸収・解毒・輸送・蓄積にどのように関わっているかを明らかにすることを試みた。まずいくつかの異なる菌根菌が感染した植物のCd汚染土壌への適応をポット試験で解析した。その結果、AM菌のCd耐性付与は各菌株のリン酸吸収促進と相関していること、AM菌接種によってCd耐性が増した宿主ではCd吸収は必ずしも減少していないことなどが示唆された。また、菌糸が根同様Cdを吸収・輸送している事、根が吸収したCdと菌糸が吸収したCdとでは植物内での動態が異なり、菌糸によって吸収されたCdは地上部には転流されずに地下部に留まる事が示唆された。次に植物-微生物境界領域でのCd分布や生物体内におけるCdの化学形態を解析するため、微細領域のX線蛍光分析(X-ray fluorescence analysis,XRF)およびX線吸収端微細構造分析(X-ray Absorption Fine Structure,XAFS))を、(財)高輝度光科学研究センター・SPring-8で行った。その結果、菌糸が土壌中のCdを吸収/輸送していることが直接的に証明された。また菌糸が吸収したCdは菌根内で植物細胞に受け渡されず菌糸内に留まる事が示され、ポット試験で菌糸が吸収したCdが地上部に転流しなかったメカニズムが明らかとなった。また、胞子にはCdが高濃度に蓄積されており、土壌中におけるCdの生物的利用可能性に影響している可能性が示された。さらにXAFS解析により外生菌糸内を輸送中のCdと内生菌糸中に蓄積したCdは別の化学形態を取っている事が示唆された。以上の結果は土壌中のCdの挙動を理解する上で、菌根菌の関与を考慮することが極めて重要であることを示している。
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Research Products
(2 results)