2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06710
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
山内 正則 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHUEMANN Jan 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | CP対称性 / 弱い相互作用 / B中間子 / 崩壊分岐比 / η_c中間子 / φ中間子 / Belle実験 / Bファクトリー |
Research Abstract |
高エネルギー加速器研究機構で進行中のBelle実験で収集されたデータをもとに、B中間子がφφK、ηhh(hはπあるいはK中間子)などのチャームクォークを含まない2体あるいは3体のハドロンに崩壊する過程の崩壊分岐比および直接的CP対称性の破れの大きさを測定する研究を行った。B中間子が複数個のハドロンに崩壊する過程は一般に弱い相互作用と強い相互作用とが複雑に関連しており、理論的予言が困難であるが、強い相互作用による複素位相があることが予想されるためにCP対称性の破れが顕著に見られる可能性がある。この現象に関して理解を深めるためにはさまざまな崩壊終状態についてその崩壊分岐比や直接的CP対称性の破れの大きさを系統的、組織的に調べることが必要であるが、近年実験データの蓄積とともに3体崩壊の研究も可能になってきたことから、より包括的な測定が可能となったものである。これまでに測定した崩壊モードのうちB→φφKという崩壊では2つのφ中間子が直接B中間子の崩壊によって生成される場合と、B→η_cKという崩壊で発生したη_c中間子が崩壊によって2つのφ中間子を作る場合とがあり、この2つの過程が干渉することによって大きなCP非対称性が現れ得ることが理論的に指摘されてきたものであるが、今回の測定によってこの崩壊におけるCP非対称度は0.15±0.17程度であることが確認された。またη中間子を含んだB中間子崩壊はその分岐比が理論的模型より大きいことが実験的に知られているために特に関心がもたれているもので、今回ηK、ηK*、ηρなど関連する崩壊モードを網羅的に測定することによってその理解を深めることを目的とする研究を行った。その結果は現在論文にまとめているところであり、これが発表されればさまざまな理論的考察が行われることと期待される。
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