2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06713
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 修 東京大学, 大学院薬学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GUSTAFSSON Tomas 東京大学, 大学院薬学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | エンカルバメート / 含窒素化合物 / エナミン / 金属エノラート |
Research Abstract |
イミンに対する求核攻撃は、種々のアミン誘導体を直接的に与える優れた反応であり、これまで数多くの報告例がある。しかしながら、芳香族アルデヒド由来のイミンは多くの場合安定に存在し、単離精製が可能であることが知られているが、一方で脂肪族アルデヒド由来のイミン、特にカルボニル基の隣の炭素(α炭素)に水素原子を有する脂肪族アルデヒド由来のイミンはエナミンとの平衡状態にあり、単離、精製が困難である。そのため、窒素上の置換基を工夫して安定性を増すことで単離精製を行うか、または系中で調製して直接次の反応に用いる手法が取られる。 エンカルバメートは窒素上にアルコキシカルボニル基を有するエナミンであり、窒素上に水素原子を有する場合においても比較的安定に存在し、単離精製可能である。エンカルバメートはブレンステッド酸条件下、反応性の高いアシルイミンへと異性化することが知られている。そこで我々は、エンカルバメートを脂肪族アルデヒド由来のイミン前駆体として用いる反応を開発することとした。 検討の結果、スカンジウムトリフラートや銅トリフラートを触媒として、1,3-ジカルボニル化合物を求核剤として用いると、エンカルバメートへの求核付加反応が収率良く進行することを見いだした。反応機構としては、以下の様に考えている。1,3-ジカルボニル化合物が金属塩に配位し、ブレンステッド酸の生成と同時に金属エノラートが生成する。ブレンステッド酸はエンカルバメートを活性化しアシルイミニウムイオンを与え、先に生成した金属エノラートの付加反応が進行すると考えられる。本反応系は、様々な基質を用いても良好に進行することが分かり、効率的な含窒素化合物の合成法として有用な反応である。
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Research Products
(1 results)