2008 Fiscal Year Annual Research Report
多成分ボース・アインシュタイン凝縮体の量子相の研究
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06F06716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 正仁 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DENNIS Dickerscheid 東京大学, 大学院・理学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | BEC |
Research Abstract |
私のこの期間中の研究は、異核フェルミ原子の超流動の研究を引き続き行ったことである。フェルミ超流動は、目下のところ、冷却原子気体において最も活発に研究がおこなわれているトピックスである。フェルミ超流動は、実験的に実現されており、BEC-BCSクロスオーバーの領域が、アップスピンとダウンスピンの原子の数がそろっている場合とそろっていない場合の両方の場合について実現されている。もう一つ注目を集めつつある研究トピックスは2種類のフェルミ原子混合気体の性質に関する研究である。この研究も、理論的および実験的に活発に研究されている。 このような背景のもとで、我々は、異核フェルミ原子気体がスピンという内部自由度を持った場合に示す超流動性について理論的に研究し、次の結果を得た。 (1)異核フェルミ原子気体の超流動が、ギンツブルグーランダウ自由エネルギーを持ち、その形がスピノールBECのそれに形式が類似していることを見出した。それゆえ、これら2つの系は、対応する平均場の基底状態を持つことを明らかにした。 (2)これは、多体的な基底状態が、クァルテット状態などの新しい状態であることを示唆している。ボソンの場合は、多体的な基底状態が知られており、それは、平均場的なポーラー状態ではなく、スピンシングレット対であることが示されている。我々の仕事から、平均場レベルの類似性は、多体状態での類似性に引き継がれることが期待されるが、違いはボソンの場合は2体のスピンシングレット状態であるのに対して、フェルミ粒子の場合は4対のスピンシングレット状態(クァルテットシングレット)であることが強く示唆される。この問題については、今後、数値計算の専門家と協力して取り組む計画である。
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Research Products
(1 results)