2006 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌の共生窒素固定活性の発現調節に関与する宿主植物因子
Project/Area Number |
06F06726
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内海 俊樹 鹿児島大学, 理学部, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZEHIROV Grigor Traykov 鹿児島大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 根粒菌 / ミヤコグサ / タルウマゴヤシ / ダイズ / バクテロイド / 共生窒素固定 / 抗菌性ペプチド / 毛状根 |
Research Abstract |
タルウマゴヤシ根粒では、機能不明のNCR (Nodule-specific Cysteine Rich)ペプチドをコードしている遺伝子群が強く発現している。一方、ミヤコグサやダイズの根粒では、NCR遺伝子は発現していない。根粒組織の構造やバクテロイドの生理・形態的特徴も考え合わせると、根粒菌の窒素固定活性を誘導し共生状態に保っための機構は、タルウマゴヤシとミヤコグサでは大きく異なるものと予想される。NCRペプチドは、抗菌性ペプチドと構造上の共通点を持つことなどから、タルウマゴヤシでは、NCRペプチドがバクテロイド化に関与する重要な植物因子のひとつであると考え、タルウマゴヤシのNCR遺伝子を導入したミヤコグサにミヤコグサ根粒菌を接種し、根粒中のバクテロイドに生じる変化を生理学的・遺伝学的手法により解析し、NCRの機能解明を試みることにした。 タルウマゴヤシのNCR遺伝子をAgrobacterium rhizogenesを介してミヤコグサへ導入し、形質転換毛状根を誘導した。NCR遺伝子が、毛状根で発現していることを確認し、根粒菌接種により根粒を着生させた。根粒よりミヤコグサ根粒菌のバクテロイドを単離し、各種生理活性検出用の蛍光色素を用いた生理・形態的観察、再分裂能や多核化について検討した。その結果、ミヤコグサ根粒内部のバクテロイドであるにも拘らず、タルウマゴヤシ根粒のバクテロイドと同じ特徴を有していた。即ち、NCRペプチドが、ミヤコグサ根粒菌にタルウマゴヤシ根粒内部のバクテロイドと同じような変化を誘導したことになる。ダイズ根粒でも同じ現象が観察されるかどうか検討するために、ダイズの形質転換毛状根誘導系の確立にも取り組んだ。現在のところ、β-グルクロにダーゼ遺伝子をマーカー遺伝子として、形質転換毛状根の誘導に成功しているが、解析に使用するためには、誘導効率を上げる工夫が必要である。
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