2008 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌の共生窒素固定活性の発現調節に関与する宿主植物因子
Project/Area Number |
06F06726
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
内海 俊樹 Kagoshima University, 理学部, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZEHIROV Grigor Traykov 鹿児島大学, 理学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 根粒菌 / ミヤコグサ / タルウマゴヤシ / ダイズ / バクテロイド / 共生窒素固定 / 抗菌性ペプチド / BacA |
Research Abstract |
タルウマゴヤシ根粒では、機能不明のNCR(Nodule-specific Cysteine Rich)ペプチド遺伝子群が強く発現している。NCRペプチドと根粒菌のバクテロイド化の関係を解明するため、NCR遺伝子を持たないミヤコグサに8種のNCR遺伝子をそれぞれ導入・発現させ、ミヤコグサ根粒内のバクテロイドを解析した。ウマゴヤシ根粒菌のBacA遺伝子変異株は、根粒形成が途中で停止し、共生を成立させることができない。一方、ミヤコグサ根粒菌のBacA遺伝子変異株は、ほぼ正常に根粒を形成し共生する。BacA産物は、共生成立のためにNCRペプチドと何らかの相互作用を持つのかもしれない。そこで、本年度は、NCR遺伝子を発現するミヤコグサ毛状根に、BacA遺伝子に変異が生じたミヤコグサ根粒菌を接種した。ミヤコグサ根粒菌BacA変異株をミヤコグサの通常根に接種した場合、根粒数が増加傾向にあるものの、野生株により形成される根粒と大きな違いは認められなかった。NCR遺伝子を発現するミヤコグサ毛状根にミヤコグサ根粒菌BacA変異株を接種した場合も、ほぼ正常に根粒が着生した。また、根粒内部のバクテロイドも野生株と大差なかった。これらのことは、共生成立の過程でBacA産物とNCRペプチドが互いに作用する可能性は低いことを示している。 NCRペプチドに対する抗体を使用して、根粒内部でのNCRペプチドの局在について検討した。その結果、ほとんどのNCRペプチドは、バクテロイドが存在する感染細胞に局在していた。また、免疫電子顕微鏡法による観察にて、NCRペプチドのひとつ、NCR001は、バクテロイド内部にも存在することが明らかとなった。宿主植物のペプチドが、共生微生物の遺伝子発現を直接制御している可能性もあり、非常に興昧ある観察結果である。
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Research Products
(5 results)