2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06F06739
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
金沢 誠 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SALVATI Sylvain 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 外国人特別研究員
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Keywords | 抽象的範疇文法 / 形式文法 / 生成能力 / ラムダ計算 / 型理論 / 交差型 / グラフ文法 |
Research Abstract |
型付きラムダ計算に基づいて様々な文法記述形式を統一的に扱うことができる抽象的範疇文法(ACG)の形式的性質を研究した。成果は次の2つである。 抽象的範疇文法を抽象的定数に辞書が割り当てるラムダ項として非線形ラムダ項も許す形に拡張した体系について、抽象的語彙が2階の場合(2階非線形ACG)の形式的性質をいくつか明らかにした。分析の道具として、任意のラムダ項を型付けによって一意に特徴づけるために交差型を持った型推論の体系を考案した。これによれば、任意のラムダ項がある交差型を持った型付けによってベータエータ同値のもとで一意に特定される。これは、単純型のもとで線形ラムダ項がそのprincipal typeによって特徴づけられるという事実の一般化である。この結果を用いて、2階非線形ACGが生成する文字列言語および木言語のクラスが正規(木)言語との共通部分について閉じていることと、所属問題が決定可能であることを証明した。 線形の抽象的範疇文法で抽象的語彙が2階の場合(2階線形ACG)について、その木生成能力を特徴づけた。具体的には、2階線形ACGがグラフ文法の一種であるハイパーエッジ置き換え文法と木生成能力において等しいことを証明した。ハイパーエッジ置き換え文法の木生成標準形を用いることにより、2階線形ACGが生成する木言語は、2階線形ACGで辞書の階数が4以下のものによって生成できることが帰結する。したがって、2階線形ACGを辞書の階数により分類した階層が、文字列生成能力に関してだけでなく、木生成能力に関しても4階以上においてつぶれることがわかった。
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