2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体表面におけるナノ構造形成過程の原子レベルでの解明
Project/Area Number |
06F06750
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
栃原 浩 九州大学, 総合理工学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KOCAN Pavel 九州大学, 総合理工学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | シリコン表面 / 走査トンネル顕微鏡 / 表面シリサイド / タリウム / 表面再構成 / Si(111)7x7 |
Research Abstract |
共同研究者のコーカン博士は、平成18年11月21日に来日したので、18年度の研究期間は4ヶ月であった。したがって、まだ論文を書くにはいたっていないが、Si(111)7x7表面へのタリウム(Tl)吸着の走査トンネル顕微鏡(STM)による観察がかなり進行し、現在データを整理している。この内容については、以下に少し詳しく述べる。その他に、STM装置の改造として、試料作製室を新たに作り直すことにし、その設計を行ない、現在、最後の詰めをしている所である。 Si(111)7x7表面へのTl原子の蒸着と引き続いてのアニーリングにより(1x1)構造が形成することは知られていたが、我々は低速電子回折法(LEED)により、その構造を決定し、論文として2003年に公表した。その構造では、Tl原子はバルク終端のSi(111)上のT4位置に吸着していた。7x7という再構成表面構造がTl原子吸着に伴い、どのようにバルク終端Si(111)に変化するかは非常に興味深い。実は、ロシアのグループがこの変化の過程をSTMで調べ、すでに論文に発表している。そこでは、(1x1)構造はステップ上端から形成し始めると報告している。しかし、今回の我々のSTM観察によると、(1x1)構造の形成の観察は困難であった。その代わり、表面には、(2x1)の周期の小さなドメインが散在しているのを見出した。この(2x1)構造は、Si(111)を壁開したときに形成する(2x1)構造と類似のSTM像であった。このことから、Si(111)7x7表面にTl原子をつけ、加熱することにより、(1x1)構造が形成するが、その構造から、Tl原子が取り除かれると、瞬間的にバルク終端Si(111)に変わるが、その表面は非常に不安定なために瞬く間に(2x1)構造に再構成したと考えられる。この変化の際、Si原子の供給・取り出しは必要でないので高速で起こると結論した。
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